冊子の作り方

写真やイラストの著作権や使用権について

印刷物には、写真やイラストを掲載するケースが多いかと思います。ただ、扱いを間違えると損害賠償請求を受けることもありますので、注意を要します。リスクを回避し安心して利用するため、最低限の知識は把握しておきましょう。

フリー素材

そもそも「フリー素材」とはどのような意味でしょうか?
おそらく一般的には、「無料で自由に使える写真やイラストなどの画像」だと考えられていると思います。
しかし、必ずしもそうとは言えません。多くの場合、「商業目的の利用は不可」「再配布の禁止」など、細かい利用規程が設けられています。しかも、素材を提供している会社や作者によって規程が異なりますので、少し厄介です。
編集プロダクションやデザイン会社に作成を依頼した場合は、利用規程を踏まえたうえで使用しているはずですから大きな問題はないでしょう。
ただ、それを無断で別の媒体に流用できるかというと甚だ疑問です。素材を入手した外注先に確認することが望まれます。

ストック素材、レンタル素材

写真やイラストの素材を有料で貸し出すウェブサイトにはさまざまな素材が豊富に揃っていて、ほとんどのデザイナーが活用しています。これらの素材は、作品によって利用規程や料金がさまざまで、使用期限や用途などが細かく設けられています。一般的に、質の高い素材ほど利用規程が厳しいため、二次利用の可能性も含めて、制作会社に使い方を伝えておきましょう。

ロイヤリティフリーの素材

ロイヤリティフリーの素材とは、何度でも複数用途に使用できる写真やイラストのことです。多くの場合、決められた料金を支払って、そのライセンスを得る仕組みになっています。デザイナーがこうした画像を使うことは少なくありません。
しかし、「何度でも複数用途に」が無限かというと、そうではありません。必ずと言っていいほど、一定の範囲が設けられています。たとえば、部数や配信数の上限、クレジットの併記が決められている場合もあります。また、「何度でも複数用途に」使える権利は料金を直接支払った者に帰属することが多く、発注者側の権利になることは稀です。
とはいえ、いくらかの料金を上乗せすれば無限に使えるライセンスを得ることも可能ですので、それらも含めて事前に制作会社に相談しましょう。

描き起こしたイラスト

「新たに描き起こしてもらったイラストだから、いろいろな用途に使えるはず」
そう考えるのは当然です。しかし、必ずしもそうではありません。
たとえば、Aというプロジェクトを広報するパンフレットに、描き起こしてもらったイラストを掲載したとします。その後、Bというプロジェクトの冊子に同じイラストを掲載できるかというと・・特別な契約を交わしていない限り、法に触れる可能性があります。なぜなら、イラストの著作権はイラストレーターにあり、そのイラストレーターはAプロジェクトのパンフレット掲載だけの料金しか得ていないことが多いからです。
もちろん、著作権に関する契約を交わしておけばいいのですが、その場合はイラスト制作料金が高額になる可能性があります。むしろ、「二次使用料」をイラストレーターに支払う方が安価でしょう。
もっとも、「今までそんなトラブルはなかった」というケースも多いかと思います。でもそれは、編集プロダクションやデザイン会社とイラストレーターとの関係性によって許されているだけです。その意味でも、外注先との信頼関係は非常に大事だと言えます。

撮影した写真

写真の著作権は撮影者にあります。ですから、ご自身の会社のスタッフが撮影した写真は自由に使えますが、プロカメラマンのような外部委託者が撮影した写真は、描き起こしたイラストと同様の注意が必要になります。
また、写真に人物が写っている場合は、肖像権の問題も絡んできます。肖像権の侵害になるかどうかはケースバイケースですので、必要に応じてくわしい人に尋ねることをお薦めします。