冊子の作り方

デザイン外注時の指示のしかた

「名前のない仕事」に注意

印刷物のデザインを外注する場合、外注先のデザイナーが「名前のない仕事」をどこまで自主的にやってくれるかによって、指示のしかたが大きく異なってきます。

「名前のない仕事」の例

 ・印刷物発行の目的を確認する
 ・完成品がどのように使われるかを確認する
 ・クライアントが望むデザインの意図を汲み取る
 ・クライアントが望むデザインのテイストを確認する
 ・指示された構成案の意図を読み取る
 ・読者にとって望ましいあり方を考える
 ・スケジュールを逆算し、納期に間に合うように段取りをする
 ・印刷会社の対応環境に合わせたデータとする
 ・あいまいな点について質問する
 ・支給された原稿や写真などの不備を指摘する
 ・支給された文言や画像の意図を考える
 ・原稿と照らし合わせながら、写真の位置を考える
 ・写真の明るさやコントラストなどを補正処理する
 ・修正指示通りに直っているかを再確認する
 ・誤字脱字など気づいた点を伝える
 ・次回以降も流用できるフォーマットにする

上記はいずれも「デザイン周り」の仕事であり、「デザイン業務」そのものではありません。デザイナーがこれらを自主的にやってくれれば、外部委託であっても非常にスムーズに仕事が進むでしょう。
ただ、そうでない場合は、発注者側がていねいに指示をする必要があります。そうしないと、発注者の手間がさらに増えてしまうからです。 もっとも、雑な指示でもスムーズに仕事が進んでいくこともありますが、それはもしかすると、デザイナーが「名前のない仕事」をやってくれているか、あるいは双方が気づいていないだけかもしれません。


デザインを外注する際の指示のしかた

デザインを依頼する場合は、以下の手順でデザイナーに依頼することが望まれます。

初期段階(見積前)に伝えること

①印刷物の仕様 ・サイズ(A4/B5/A5など)
・総ページ数
・色数(カラー/2色/1色など)
・製本(無線綴じ/中綴じなど)
※印刷も依頼する場合は印刷部数、紙質、納品先、色校の有無も伝えます。
②納品形態 ・データ入稿か、印刷納品かの別
・データ入稿の場合は、印刷会社が対応可能なアプリケーション(ソフト)とフォント(書体)
③発行の目的 ・誰に対してどのように配布するか
・何を目的として作成するか
④作業範囲 ・図表、図版、イラストなど素材パーツ作成の有無
・写真素材の選定・調達の有無
・その他、デザイン以外に頼みたいこと
⑤デザインテイスト ・求めるデザインテイスト(イメージ)
  ※可能であればイメージ見本を何点か提示しましょう。
・そのテイストにしたい理由
⑥スケジュール ・最終納期
・初稿提出希望日
⑦守秘義務 デザイナー等に案件の守秘を希望する場合は、なるべく早めに伝えておくと安心です。
⑧連絡理由 初めて取引する会社(個人)には、連絡した理由を伝えると、「何を期待されているか」が先方に伝わります。

見積依頼

発注確定後に行うべきこと

⑨再確認 初期段階で伝えたことの再確認を行います
⑩原稿類の送付 ・メールなどで原稿や写真などのデータを送る
※写真やグラフなどの画像類はWordなどに貼り付けたものだけでなく、jpgやai、png、pptなど元画像も送ります。
・写真など画像の掲載位置を伝える(対応する文章はどれかなど)
⑪誌面構成の指示
・各ページの内容(どのページに何の項目が入るか)
・各ページのレイアウトイメージ(見出しや文章、写真などの大雑把な配置案)
※フリーハンドの手描きで十分です。Wordなどに文字で説明しても構いません。
⑫イメージの指示 ・希望する基調色
・全体的な雰囲気
※上品、目立つ、明るい、さわやか、インパクト重視など、さまざまな形容詞を使って要望を伝えましょう。
⑬誤解の解消 編集者やディレクターが間に入らない場合は、コミュニケーション・ギャップが生まれがちです。特に、「返事はいいけれど質問が少ない」場合は、相手が誤解している可能性があります。さまざまなことに気を配って、誤解の解消に努めましょう。

初稿アップ後に行うべきこと

⑭初稿チェック・
校正
・提出されたデザインが問題ないか、確認をする
・文字を校正する
※Wordなどの段階でしっかり校正しておくことが望ましいですが、デザイン過程で不具合が生じることもありますので、この段階でも念入りに校正します。
⑮フィードバック ・プリントした初稿に手書きで赤字を書き入れ、スキャンしてデザイナーに送る。
・デザイナーやDTPオペレーターが勘違いしないように、赤字は大きく、ていねいに書く
※文字修正が多い場合は、Word上で修正しても構いません。ただし「どこを修正したか」がわかるように色を変えるなどしましょう。
⑯スケジュール調整 ・必要あれば、関係各所とスケジュールを調整する
⑰チェック・校正 ・フィードバックした赤字がきちんと直っているかを確認する
※赤字を入れていないところが間違っていないかも確認します。
・修正したい箇所がなくなるまで、デザイナーと校正のやりとりをする
⑱入稿データの
受け取り
⑲印刷会社に
データを入稿
・納品先、納品希望日、データ仕様などの必要情報も伝える
⑳完成、納品